スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

認知症の方の口腔ケア7

父は現在悩みがなくなったせいか、毎日食欲旺盛である。認知症者はなやみというものがないのだろうか?最近は歩行しないで室内椅子に座っているときには、いつも歌を歌っている。脳内にしまわれていた遠い記憶の歌なのであろう。子供の頃に覚えたであろうふるい歌をいつも口ずさんでいる。毎日がごきげんである。
足の不自由な母一人では介護が難しいので、うちのかみさんとかみさんの弟の嫁さん、父の兄弟数人が日替わりで付き添っている。冬に入院した際に申請した介護保険では要介護度5の判定が下り、保険で使える点数も多かったので週に数回の通所型介護施設を利用している。5月連休後に最初の通所があり、家から50メートルほど先のバス停まで迎えの車が来ることになっていた。足腰が弱っている父をそこまで車椅子で送るのは、30分契約で頼んでいるヘルパーさんである。
通所開始の初日とあって、私のかみさんだけでなく私もそこに訪れた。ヘルパーさんは契約の調印もあるので、所長さんらしき若い男性と中高年女性2人が来てくれた。さすがに手慣れたヘルパーさん方である。いつもは部屋から連れ出すのに声かけや背中押し、手を引いてもなかなか立とうとしない父も、その日は所長さんにうまいこと言いくるめられながら手を引かれて立ち、玄関を降りてから石段をあがり、車椅子に乗ってくれた。60代くらいの女性のヘルパーさんに車椅子を押され、緩い坂を下り、急坂はバックで下り、周囲を私たち5人くらいで囲みながら待ち合わせのバス停まで行った。その間父はご機嫌であった。流石、ヘルパーさん方はプロである。手早く30分以内に仕事を終えようとして上手く運んでいった。バス停では、ほとんど誤差がない時間に車が到着し、後ろのキャリーステップに車椅子ごと父を乗せるとすぐにリフトアップし、他の老人が乗っている側に父を位置づけたのだ。初日は上手くいった。
スポンサーサイト

認知症の方の口腔ケア6

 さて、父の口のなかであるが、かみさんの話では父の口の中に歯はないという。「おや?はてな?」。認知症になる前には笑ったときの味噌っ歯が見えていた。歯茎との境目が虫歯になって折れそうになっていたのを覚えている。「歯頸部カリエス」という高齢者に多いむし歯である。その頃、父のむし歯を気にはしていたが、当時私の働く場所では高齢者の治療ができなかった。今思えば、当時近医受診を強く勧めておくべきだった。むし歯や歯周病を治療し、入れ歯でかむ位置をしっかりつくっておけば、認知症になる確率は減らせるはずだ。そのような医学的データも多くでてきている。しかし、あとの祭りである。
 父は現在退院し、自宅療養?いや、自宅介護中である。膝を痛めた母の介護を受けている。介護といってもベッドでじっとしているわけではなく、自宅室内をわけもなく歩き回る父がけがをしないように見張ったり、抑制したりすることに時間をとられている。ましてや足のわるい母がいくら言葉で抑制しても、認知症の父が聞き入れるわけでもない。側につきっきりで、父が怒らない程度に緩やかに誘導しなければならない。トイレや食事も厄介である。尿意の知覚があるときとないときがあるので、尿意の知覚がないときにトイレに促してもいっこうに行かないのである。そのあとは、案の定おむつがびしょびしょである。頻尿を恐れて水分補給を怠ると、こんどは脱水を起こしやすいときた。これから夏を迎えるにあたり、毎日牛乳を飲ませて脱水になりにくい体質に変えている状況である。
便意についてもしかりである。排便を促してもトイレにいかない。昨年の夏に食欲不振に陥って食べる量が極度に減少した際には、1週間以上の便秘を何回も経験している。排便がないので、さらに食欲も抑制されてしまっていた。

認知症の方の口腔ケア5

 口の中にも敏感さの違いが大きくあります。まず、上唇の真ん中や上の歯茎の真ん中辺りはとても敏感です。そこらあたりを中心にして、外側、奥のほうへ行くほど鈍感になってきます。だから、口の中に指を入れたらまず、奥歯外側の歯茎を指の腹で押さえておくのです。そうすると、比較的少ない触角の入力が脳に伝わり、すこしづつ脳が対処できるようになってくるのです。いきなり、上唇を強く触るようにすると誰でもびっくりしますよね。
 また、あまりにも過敏が強くて口を頑としてあけない方や頬が緩まない方には、下奥歯の歯茎を触った後に、さらに奥に指を滑らせると上下の歯茎の柔らかい交差点に触ります。ここを押すと、口をあけてくれる方も多いです。ここをKポイントといってます。ここを押して過剰に口を開けて、嘔吐する方もときどきいますので、注意が必要です。本人の反応をみながら押す力を加減することも必要です。

認知症の方の口腔ケア4

 さて、そろそろ実際の口腔ケアにあたって、すぐにでも対処できる方法を説明します。
認知症の方の口腔ケア3で言ってますが、認知症の方は外部からの入力のコントロールができません。顔や口、口唇、口腔内を触られるととても嫌がります。これは、触った感じ:感触を脳に伝えた後、脳内での入力コントロールができないので過敏を発症しているのです。これは自閉症などのこどもでもよく見られることです。人や状態によって入力抑制しにくい感覚が、感触であったり、温度であったり、匂いであったり、味であったりさまざまです。(老人の場合には、音入力自体が耳がとおくなっていることで制限されている場合も非常に多いのですが、私の父は聴力が衰えておらず、遠くの他人の会話に勝手に入り込みます。)
 この過敏を除去するためには、まず、高齢者を敬うように話しかけながら左右の耳から前の頬一帯を広く掌で数分触り続けます。このとき、手を動かさないことが重要です。少し慣れてきたら、少しづつ手を動かして、両手の人差し指などで、口角を触ります。予め手の甲に保湿剤を親指大ほどつけておいて、口角を触ったついでに人差し指に保湿剤を少しとって、口唇全体に塗ります。このとき、本人には唇が乾燥しているので、クリームを塗りますよといいます。
 口角から人差し指を口の中にいれ、その指先を下の奥歯の外側に暫く貼り付けて起きます。それから奥歯の外側の頬を膨らませるように人差し指やその他の指を使って、おくから手前に頬を膨らませながらゆっくり頬を伸ばしていきます。これを何回か繰り返すと口唇や頬の筋が緩んできます。

認知症の方の口腔ケア3

 しかし、高齢者とくに認知症の方の口腔ケアは難しく、めんどうくさい。ただでさえ他人の口の中の歯磨きなんて難しい。口の中は暗くてよく見えない。歯が一本一本ならんでいて、隙間まである。軟らかい粘膜も歯茎、頬、舌、口蓋、敏感な唇や触ると「おえっ」となる軟口蓋まである。口を30秒くらいあけてもらうだけで、唾液が垂れてくる。口を開くのも疲れるらしくて、口が閉まってしまう。頸が傾いてくる。そしてさらに口の中が見えなくなってしまう。
 高齢者にもかかわらず、くちの周囲と中は過敏があるようだ。顔を触るだけで嫌がられる。口の中に指を入れようものなら噛み付かれる。どうやら脳内の信号を抑制する細胞の減少が激しいので、触覚の入力調整ができないようである。かみさんの父は後期高齢者なのに耳がよくて周囲の音が何でも入力されるらしい。他人の会話に直ぐに反応していつも返事をしてしまう。音の入力抑制もできないのだろう。
プロフィール

4126高空衛星

Author:4126高空衛星
高齢者、障害者、こどもたちのくちの働きを支援するちょっと変わったドクターです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。